今年度スタートしたアーティストプログラムin神津島。美術家の山本愛子さん(詳しいプロフィールはこちらのブログから)が島にリサーチに来た際の滞在日記を3回に分けて公開します。今回は初日~2日目の日記です。
【9月7日 晴天(1日目)】
深夜船からの神津島
6日の夜、神津島へ向かう船に乗るために港区竹芝の船乗り場へ。23時出港。HAPPY TRUN事務局の齋藤あずささんも同じ船で初対面。船案内をしてくれて、デッキにあがり夜風に当たりました。東京タワーやスカイツリーを背にして、レインボーブリッジをくぐって、東京のネオンがだんだん小粒になっていきます。神津島まで約9時間。東京都内の移動とは思えない冒険感です。船のベッドはかなり快適で爆睡しました。そして晴天の朝、神津島が見えてきます…!
ゲストハウスへ
船から降りて、HAPPY TURN事務局の中村圭さんと初対面。車でピックアップに来てくれて、ゲストハウスに向かいます。(港から急な坂道をのぼり、見えてくる浜辺の全景に、うわぁーと思わず声が漏れます。海が美しい…。底まで見える透き通った瑠璃色の海と、真っ白な砂浜。あっという間にゲストハウスに到着し、事務局の飯島知代さんが出迎えてくれました。(齋藤さん、中村さん、飯島さんと、1人ずつ事務局メンバーに出会っていく感じにRPGのようなワクワク感がありました。)
神様にごあいさつ
神津島は、昔は「神集島」と書き、その名前のとおり、伊豆の島々を作るために、神々を集めて話し合う場がこの島だったそうです。まずは島の神さまにご挨拶をしに、飯島さんと一緒にバスで阿波命神社へ。そこでの参拝の仕方が独特でした。まず、神社の目の前の長浜海岸で平べったい石を見つけ、その上に濡れた砂利をのせ、こぼさないようにして神社まで持って行き、鳥居の下に置いてから参拝をします。
この海岸の石たちが、緑色、桃色、紫色など、美しく珍しい石だらけで、思わず持って帰りたくなりました。しかし、ここの石は神様の宝物なので、昔から浜の石を持ち帰ると必ず神罰があたると言い伝えられているそうです。飯島さんと浜辺を歩きながら、奇妙なお話をいろいろ教えてくれたのが印象的でした。
【9月8日 晴れ時々曇り(2日目)】
くるとに「あわいのはた」を立てる
東京アートポイント計画の櫻井さんとの事前ミーティングで「まずは目的を探すのが目的ですね」と話したことをお守りにして、今回は何をしようとがっちり固めずに島にやってきました。準備中、島に何を持っていこうかなと考えていた時に「あわいのはた」という、お気に入りの作品を持っていこうと思い立ちました。あわいのはたは、国境を超えた様々な土地で私自身が収集した草木たちから、色を煮出して染めた布をつぎあわせ、1枚のハタとなった作品です。さまざまな分断や境界を超えた、あわい(間)の存在。まずはくるとにこのハタを立てるところから初めてみることにしました。そんなこんなで、HAPPY TURNメンバーとの初めての共同作業は、海岸に行って、ハタを立てるためのいい感じの棒探しになりました。
HAPPY TURN事務局のメンバーとうろうろ植物探し
朝、くるとの中庭にあわいのはたを立て、そのままHAPPY TURNメンバーと私で、草木染めをしてみるための植物探しに出かけました。元々は島ドライブの予定でしたが、せっかくならば植物を採取しながら島を知ろうと思い、植物探しに変更。どんな植物を採取するかをハッキリと決めないまま、うろうろと山の中を歩くことをしました。そうしてゲットできたのが、野生の明日葉(伊豆諸島の特産)、野生のカクレミノ(島では柏餅の柏の葉の代わりにカクレミノの葉が使われる)、そして農家さんのご協力で、大量のパッションフルーツの実と葉っぱをいただきました。神津島ならではの植物がたくさん集まりました!
バイクで島全体を走る
夕方のくると。それぞれが、それぞれなにかをしている時間。大きな黒板に絵を描いている女の子。魚釣りから帰ってくる大学生。HAPPY TURNメンバーもそれぞれのペースで仕事や休憩。そんなゆるりとした時間をつかって、私はバイクで島を走ってみることにしました。(ありがたいことに、地元の高校生がバイクを貸してくれました。)いくつかの場所でレジデンスをして常々思うのは、早めにその土地のスケール感、土地勘を身につけた方が、自分も周りも動きやすいということです。Googleマップを見ながら、昨日通ったのはここだったのかー!など確認しながら、島の最北部から最南部まで行ってみたり。日暮れまで走りつづけ、へとへとになりました。
②へつづく
コメントを残す