島で「幸せなターン」をしている人々にお話を伺い、その物語を共有する『HAPPY TURN/神津島 通信』。
今回は、HAPPY TURN/神津島の事務局インターンとして来た大学3年生の斎藤万穂さん、大堀拓海さん、林実来さんがインタビューを行いました。今回インタビューしたのは、夏はダイビングインストラクターとして神津島のダイビングショップ「アクアメイトダイビングクラブ」で働き、夏が終わると内地で別の仕事をする、いわゆる二拠点生活を11年続けている大島瑞木さん。就職活動を控えた3人が、気になる大島さんの生き方をインタビューしました。最後まで是非ご覧ください。

 

~インターン大学生がインタビュー~

「神津島は心の拠り所」
二拠点生活を11年続ける、ダイビングインストラクターの生き方

 

大島 瑞木(おおしま みずき)さん
年齢|46歳
職業|ダイビングインストラクター(夏季)・OL
二拠点生活|11年目
出身地|神奈川県横浜市

 

夏は島でダイビングインストラクターをされている大島さんですが、冬は何をされているのですか??
冬の間はほんといろいろです。(笑)タイやヨルダンでインストラクターをしていたこともありましたし、旅行に行くこともあります。外国人がたくさん泊まりに来る浅草のゲストハウスで働いた期間も4・5年あったかな。一昨年は中南米を旅していました。

 

学生時代から海外に興味があったのですか?
学生時代はそんなに海外に行くことはありませんでした。卒業してからも銀行員をやっていたので海外に行くことはあまりなかったですね。それが、25歳くらいで仕事を辞めて、ワーキングホリデーでオーストラリアに2年ぐらい行って。日本に帰ってきてからまた6年間OLをしていました。OLの仕事を辞めたとき、タイがすごく好きで、タイのピピ島に行ったんです。そこで、ただ過ごすだけでは暇なので、もともと海が好きなこともあり、ダイビングインストラクターの資格を取りました。それが『2足の草鞋生活』のはじまりですね。

 

最初に神津島に訪れたきっかけは何ですか?
もともと日本のダイビングショップで働きたいと思っていて、ネットで求人を探していた時に出会ったのが神津島でした。タイで取得したばかりだったダイブマスター(ダイビングインストラクター前段階)の資格を活かせるとの事だったので、すぐに応募しました。当時は、島の人との繋がりもなければ、島の名前すら知らない状態だったので、とりあえず行ってみようみたいな感覚でしたね。最初は1~2か月の滞在で。ひと夏が終わって来年も是非!ということになって、今は3~4か月夏は神津で働くスタイルになりましたね。まさかこんな長く神津に通うとは思いませんでした。はじめは1回来たら海外に住んで働こうと思っていましたからね(笑)。

 

二拠点生活をはじめてみてどんな変化がありましたか?
神津はもう長いので、戻る場所というか、癒される場所、年に一回戻って来られる“心の拠り所”の様な場所なんです。同じ事を繰り返しながら過ごす生活スタイルは、私には合わなくて。二拠点生活を送ることで、1年を通して生活に変化やメリハリが出るので、現在の暮らし方が個人的に気に入っています。毎年、冬の時期はずっと寒くて苦手なので、海で癒される夏が本当に待ち遠しいです。

 

二拠点生活での悩みはありますか?
夏が終わって、次どうしよう…ってなったときはありました。神津にいる間に貯金ができても、冬の間タイに行くと(物価が安い分お給料も安いため)お金はたまらないし交通費もかかるから、「お金がない!」ってなったときに、もうやめようかなと思いました。神津と海外を行き来する生活ではなく、日本のゲストハウスで働いてみたら案外楽しくて。それから、神津と東京の仕事をする生活に落ち着きました。

 

神津島の魅力は?
月並みですが、海がきれいなことですね。それが一番。私は赤崎で潜ることが多いのですが、赤崎はカラフルな魚が多いし、透明なときは本当に透明。しかも湾になっていて穏やかだし。やっぱり神津の海はいいですね。

神津弁も好きです。「~だじん」「~だしかい」「~だら」とか、オーナーは神津弁が強いので移ることもありますね。

 

ダイビングのお仕事の醍醐味はなんですか?
私は体験ダイビングの担当が多くて、ダイビングをやったことない人が多いんです。なので、お客さんがダイビングを通じて、経験した事のない新しい体験にワクワク・ドキドキしながら挑戦している姿は毎回見ていて感動してしまいます。ダイビングはかなり体力を使う仕事ですが、すごくやりがいがありますね!お客さんの姿に感化されて、すぐ新しいことを始めたくなっちゃうことも多々あります(笑)。あと、大好きな海に触れながら仕事ができるという楽しさもあります。

 

今後、神津島に移住する予定は?
しばらくはこの生活スタイル(二拠点)で続けていく予定です。正直、移住しても良いなと思っていた時期もありましたが、夏季以外の期間での仕事や生活のことを含めて総合的に考えた結果、現在の暮らし方に落ち着きました。でも、個人的には冬の神津島も面白いと思いますよ!

 

HAPPY TURNにちなんで、幸せだな!と思うことを教えてください。
「あ~幸せ」ってぽろっと出ちゃうのは、綺麗な海を見ているときです。ヨルダンにいたときも、沖縄にいたときも本当に海がきれいで、「あ~幸せ」って自然と口に出していました。キレイな海を見て自然の中にいる、こんなきれいな景色のその場に自分がいるってことに、気づいたときが幸せです。神津は海がキラキラしていて砂が白くて、砂紋を水中で見るだけで感動します。あとはおいしいものを食べて仲間とワイワイしてお酒を飲んでいるときですかね。神津のお刺身は最高です。

 

これからの目標・やりたい事は?
今、東京で仕事しながらマッサージも勉強中で、あと中南米を旅したのが楽しくて、スペイン語も勉強中です。一つのことだけでなく、いろいろやっていきたいってのが目標かな。どんな面白いことが転がって来るかは分からないから、思い立ったら好奇心に任せて行動しちゃうのが一番。最終的には、ダイビングに限らず大好きな海と自然の中で仕事をしながら、自分が暮らしやすい環境を築いていけたらいいですね。まだまだ模索中ではあるのですが、やっぱり自然と関わりながら好きなことをして暮らしていきたいです。そのために、金銭面や年齢などに捉われず、健康な限り常に追求心を忘れずにチャレンジしていけたらいいです。

 

私たち(大学生)にメッセージをお願いします。
大人になって1人で飲みに行って、隣の席にいた人と話をすると、ものすごく面白かったり、今まで知らなかったことを知れたり、友達の輪が広がったりすることがあって。大学生のときに、もっと自分と違う環境の人に知り合っておけばよかったなって思うんです。だから、皆さんには同じような世代だけじゃなくて、たくさんの世代の人と仲良くなって話を聞いてみて欲しいですね。そうするといろんな刺激になって、やりたいことが見えてきたり、こんな風になりたいな、と思えたりすると思います。あとは外国に行くのも面白いですよ。とにかく自分からいろんなものや人に出会おう!

 

【インタビューを終えて】

斎藤万穂
インタビューを通して、今までの自分だったら全く考えらなかった新しい生き方に触れることができました。「自身の人生をどう歩んできたか」。現在の私には、振り返ったり、それを話したりする余裕やネタがありません。大島さんのインタビュー中の様子を見て、あんなにも堂々と自身の人生について楽しくお話しできるなんて、とても羨ましいなと思いました。 私も、もっと色んな場所で色んな経験を積んで、自身の人生を彩っていきたいと自覚できた素敵な時間でした。

大堀拓海
大島さんは神津島で働く以前、島の名前を知らなかったとおっしゃっていた。それでも働くにつれ神津島の良い所を徐々に知っていき今では島のことを好きになっている。それは今現在神津島を知らずに過ごしている多くの人々にも当てはまるのでないだろうか。 今回のインターンを通して神津島の良さに気づくことができた僕たちが、今後人々に島の良さを伝えていき、まだ神津島の魅力に気づくことができていない多くの人に神津島のことを好きになれるきっかけを作って行けたら良いなと思う。

林実来
今回インタビューさせていただいて、私の人生に新しい風が吹きました。今までは、「ちゃんと大学出ていいところに就職したほうがいいよ」と大人達に言われ続け、一般企業で毎日働いて、週末は休みをとって結婚して…などと固定観念に捉われていたのですが、大島さんのように、好きな場所で好きな仕事を楽しみながらするという人生が素晴らしいと感じました。こういう生き方もあるんだと知っただけで、就職活動でかたくなった頭の中を解してもらえたような気がします。お話を聞けて、大島さんにお会いできて本当に良かったです。

インタビュー:斎藤万穂・大堀拓海・林実来(文教大学情報学部3年)
記事:斎藤万穂・飯島知代
記録:林実来
写真:大堀拓海・斎藤万穂・アクアメイトダイビングクラブ・飯島知代
企画・編集:飯島知代(HAPPY TURN/神津島)