• 齋藤翔太(さいとうしょうた)さん
  • 年齢 | 30歳
  • 職業 | 村役場勤務
  • 島在住 | 7年目
  • 出身地 | 東京都江東区

 

 

ー神津島で就職しようと思ったきっかけは?

齋藤さん:僕が大学を卒業したのは2011年です。でも、やりたいことがわからず、卒業後3ヶ月ぐらい何もしてなかったんです。友達と遊んでたぐらいで、バイトはやめていた。だけど東日本大震災が起こり、電車が止まって携帯電話も繋がらないし、お店の物もあっという間に無くなることを体験して。都会って何かあった時に対応できないんだなと痛感しました。それで地方なら自給自足というか、自分の暮らしを自分でつくれるんじゃないかなと思って、色々インターネットで調べはじめたんです。それで偶然、神津島のホームページで採用情報を見つけたんです。

ーひとり暮らしも初めてだったんですよね?

齋藤さん:はい。大学まで実家暮らしだったので、仕事の基礎も、家事も、すべてのことをいちから覚えた感じです。大変だった気もするけど、辛かったかどうかは覚えてないですね。日々勉強で、無我夢中で過ごしたというか。

 

ー村役場ではどんなお仕事をされていますか?

齋藤さん:一番長く担当しているのは、固定資産税関係です。島内の資産を調査したり、税金の集金にまわる仕事。土地や建物に関係する仕事なので、島の中の家を覚えるのは早かったですよ。家主さんとも顔見知りになるし、移住してきてすぐに島の人と触れ合うこともできました。最初は怒られっぱなしでしたけど。「なんでこんなに税金高いんだよ!」とか。あと、1年だけ空港消防で勤務していて。6人チームで島内の消火栓やホースのチェック、消防団の取りまとめなどを担当していました。仕事をようやく覚えたところで異動になってしまったので、いつかまたやってみたいです。

 

ーオフの時間は何をしていますか?

齋藤さん:島に来てから1年ぐらいして自分の車を買って、ドライブも楽しみになりました。仕事の後に温泉に行くのが好きです。気に入っているのは、島の中でも秘境的な展望地です。冬のドライブでよく行きます。その展望地の事を、仲間内でしかわかならない愛称で呼んでいるんです。愛称の由来は「とある国に似た景色だから」。仲間のうち誰一人としてそこに行ったことがないんですけどね(笑)。

 

ーこの先も島で暮らしたいですか?

齋藤さん:はい。僕、いつか島で家を建てたいんです。まだ結婚の予定とかはないですけど、仕事で色んなお宅を拝見していていいなぁって思って。島にはコンビニはないし、空家や仕事も少ないし、島の噂はLTE並みに速い(笑)! だけど地元の江東区に戻っても「懐かしい」と感じるばかりで「帰りたい」とは思わないんですよ。島に帰ってくるとほっとします。落ち着くんです。

 

執筆:中田一会(きてん企画室)
写真:川瀬一絵(ゆかい)