• 桑田篤実(くわたあつみ)さん
  • 年齢 | 32歳
  • 職業 | 飲食店経営
  • 島在住 | 2年目
  • 出身地 | 東京都江戸川区

 

 

ー以前はどんなお仕事をされていましたか?

桑田さん:六本木でバーテンダーを8年やってました。嫁とは六本木で知り合って、2年前に結婚しました。彼女が神津島の出身だったんです。だけど僕、都会が大好きなんで「絶対島には行かないぞ」と言ってたんですよ。遊びに行くのは良いんですけどね。

 

ーそれがどうして島でお店を開くことに?

桑田さん:Hyuga brewery社長である義母がもともと島で酒の卸し売りをやっていて、いずれビールをつくってお店をやりたいとは言ってたんですよ。それで「島でお店をオープンするにあたって任せられる人間がいないからお願い!」って頼まれまして。まあ、社長の助けになればいいか、と来たんです。僕、やったことないことするのは好きなんですよね。お店をいちからつくるのは初めて。椅子をつくったり、メニューをつくったりするのは楽しかったですよ。料理も島に来てから覚えました。魚はもともと触るのも苦手だったんですけど、社長に捌き方を教えてもらったりして。

 

ー島の暮らしには慣れましたか?

桑田さん:そうですね、最近になってようやく私生活も仕事も落ち着いたかな。時間が解決してくれた感じですかね。やっぱり困ることはありますよ。欲しいときに欲しい物が買えないとか、こどもの遊ぶ場所が限られてるとか。道が狭くて車の移動は大変だし。あと……嫁とケンカしたときとか、家を飛び出しても逃げ場がない。外は真っ暗だし誰もいない! 行くところがなくて車の中に逃げるしかないんですよ。

 

ー都会に戻りたいって思いますか?

桑田さん:思いますよ。別に島が嫌いではないんです。良いところだとはもちろん思っていて。海がきれいだなーって毎日思うし、六本木で働いていた頃よりこどもと一緒に過ごせているし。だけど「東京に帰りたい」って気持ちはずっとある。僕、きれいな星空よりも新宿のネオンの方が好きなんです、やっぱり。都会が好き。それでも、お店をはじめるときに「7年ぐらいは島に住む」って社長に宣言しましたから。それまでは頑張ります。

 

ーこれからの目標は?

桑田さん:島を出ることですね(笑)。もちろん、ポジティブな意味で、ですよ? 今のお店が軌道に乗ったら、2店舗目を東京に出して、新しく挑戦したいなって思います。あとこれから瓶詰め商品の島外営業は自分にやらせてくれって社長に頼んでいます。そういう形で島内と島外を行き来するのもありじゃないかなって思ってます。

 

執筆:中田一会(きてん企画室)
写真:川瀬一絵(ゆかい)