• 小椋康介(おぐらこうすけ)さん
  • 年齢 | 39歳
  • 職業 | 漁師
  • 島在住 | 9年目
  • 出身地 | 兵庫県姫路市

 

 

  • 小椋紗理子(おぐらさりこ)さん
  • 年齢 | 36歳
  • 職業 | 観光協会勤務
  • 島在住 | 6年目
  • 出身地 | 東京都町田市

 

 

ーそれぞれどんな経緯で移住されたんですか?

康介さん:僕は水産大学時代の友人に影響されて、漁師になろうと決めました。20代は水族館の飼育員をしたり、水産庁の漁業調査に加わったり、水産系会社で牡蠣の製造を手がけたり。島に来たのは30歳。いずれ独立できる条件の漁師の募集を探していて、それが神津島だったんです。
紗理子さん:私は高校卒業後アメリカに留学し、帰国してから東京の旅行会社に入りました。その後はバックパッカーホテルで7年勤務。外国からのお客様とコミュニケーションをとるうちに、日本のもっと違う側面を知りたいと思うようになり、神津島観光協会に転職しました。神津島はリゾート化されていない感じが良くて。

 

 

ーお二人の出会いは?

康介さん:僕がつくった魚の剥製の展示先を探していて、観光協会の施設に飾れないかな?って思って連絡して。

紗理子さん:そうそう。本当に事務的な話で「じゃあ申請書出してください」みたいな。でもまあ、島の人ってみんなお節介なので、私達みたいにいい歳した独身がいると、すぐに「くっつけよう!」ってなるんですよ(笑)。だから、私達が付き合いはじめたら周囲は大喜び。歩いていると挨拶代わりに「いつ結婚するの?」って言われるぐらい。で、付き合って3年経ってから入籍しました。

 

 

ー日常生活はどんなサイクルですか?

康介さん:日によりますが、僕はだいたい午前1時〜4時に漁に出て、昼から夕方に帰ってきて、22時前には寝ます。
紗理子さん:私の仕事は多岐にわたりますが、観光客への案内業務や旅行商品造成などがわかりやすい仕事かな。仕事はシフト制です。休みが合わないことがほとんどだから夕飯は一緒に食べるようにしています。

 

 

ー島の暮らしはいかがですか?

康介さん:同い年の友達が島内にできてからとても楽しくなった。友達がいなかったら今の生活はないと思います。

紗理子さん:私も今の暮らしと仕事が好き。島全体が大きな会社みたいだなって思うんですよ。それぞれの部署があって、みんなが島を良くしようとしている感じ。その規模感が面白い。漁業と観光業だって下手すれば敵対関係になるかもしれないのに、あまり感じない。距離が近いからお互い大切なのかも。

康介さん:人のつながりがないと、ここでの生活は難しいね。

紗理子さん:そうだね。来たばかりの頃は、島のどこにいても人に見られている感じで、ちょっと居心地が悪かったかも。東京の満員電車の、人混みに紛れる感じが懐かしかった。今はもう全然感じなくなったけど。

 

 

ーお二人は仲良しですね。ケンカはしますか?

紗理子さん:しないです。だって一緒にいられる時間が本当に短いから。もったいなくて!

康介さん:ね。

 

 

執筆:中田一会(きてん企画室)
写真:川瀬一絵(ゆかい)